8:00AM
昨晩その後、2:00くらいまで夜更かししてしまったので、遅めの朝を迎える。
リビングに降りる。
早速みんな朝食の支度に取りかかっている。

手際よく調理を進めるジビエさんの横で、まだ眠い私は窓の外をぼーっと眺めてしまう。
冬の朝に吐いた白い息のように、もくもくと出ては消えていく淡い煙。
私たちのために、朝から離れの暖炉に火入れをしてくれていた田中さんの優しさに温まる。

8:30AM
田中さんがご自宅のホームベーカリーで焼いてきてくれたという食パンを贅沢に4等分。

食パンをは四つ切りがいい。マットレスみたいな多幸感があるから。
ミルで挽きたての豆で、ゆっくりコーヒーを淹れてくれる田中さん。
コニタンさんが持ってきてくれたにんじんジュースの鮮やかな色と濃厚な甘みに体が目覚める。柿とにんじんのラペは、昨晩のラップサラダのように無限に食べてしまう。

昨晩、あんなにたくさん食べて飲んでしたはずなのに、野菜をたっぷり付けあわせてくれるジビエさんの料理のおかげで、胃もたれなく、お酒も残らず、朝食が美味しい。
朝食を食べながら、早朝散歩に出かけたというコニタンさんの写真を見せてもらう。
朝日に輝く朝露の風景。見たかったなあ。

でも、エアベッド気持ちよかったんだよなあ。
大学院生の時、いつも研究室のエアベッドで寝ていた日々を思い出す。

あらゆる過酷な環境で寝るスキルを身につけてしまうのが建築学生の宿命だが、私の研究室はQOLを大事にする人が多く、エアベッドが準備されていた。そのためもあって、寝袋も買わずに過ごせてきたが、イミグレでは使用頻度が高そうなので、そろそろマイ寝袋を買いたい。


話題は、ジビエさんの仕事:物流の話へ。
コンテナという「箱」の発明によるイノベーションを綴った『コンテナ物語』がナスバンVol.2の推薦図書になった。(もちろん、その場でAmazonやメルカリでポチッと・・・)

- 食パン(田中さん自家製)
- にんじんジュース(コニタンさんおすすめの久松農園)
- 柿と人参のラペ
- 豚バラ & エッグ
- コーヒー
11:30 AM
朝食と片付けが一通り終わって、ストーブを囲み、それぞれの時間を過ごす。
ストーブで沸かす薬缶のヒューっという音だけが部屋に響く静寂の時間。
同じ空間に居ても、たとえ隣にいたとしても、それぞれが外にもつ世界と繫がるひとときを侵さないというのは現代人の暗黙のルールなのかもしれない。

和室の窓からひょっこり鳩時計のように顔を出して、リビングを眺めるコニタンさん。

リビングと和室は数十センチの高さで隔てられているものの、境界の曖昧な地続きの和室よりも、それぞれの居場所が護られている気がした。


12:00 AM
コニタンさんが亭主のお茶会でナスバンVol.2をしめくくる。
カフェカウンターを舞台に、茶器がバランスよく並べられていく。野立て用なので、全体的に小ぶりな茶器。漆の水差しも美しい。

サーリネンのソファに座る主客の田中さんをはじめ、私たちはコーヒーテーブルを囲み、主人の所作を見上げる。茶会は中高の部活以来なので経験に乏しいが、自分の目線より高いところでお茶を点てられる経験は初めてだ。

抹茶を茶杓ですくう時に舞う、緑の粉の残像。トム・サックスのユニークなお茶会の映像を思い出す。型を尊重しつつ、状況に応じて変幻自在に場をつくるコニタンさんのおもてなしにも、それに通じるものがあったからかもしれない。


1:30PM
最後に、昨日それぞれつくったリースで記念撮影。那須に来たのは2回目だった。

初めて来た時も、確か少し早かったけど同じような時期だったと思う。

ずっと変わらなかったものが突然変わる世界、異常気象、何でもいつでも手に入る便利すぎる資本主義社会の中で失われていく季節感をつなぎとめておくためにはどうしたら良いのだろう


「また、同じ時期にここで集まりたいね。」



同じ時期に、同じ場所で集う。自分も世界も変わってしまうからこそ、1年という大きな周期の中で定点観測できる場があったなら。那須はもしかしたら、そんな特別な所になるのかもしれない。

暦(こよみ)とは本来そういうものであったのではないか。


3:00PM
24時間余りのナスバンVol.2、これにて終了。
田中さんだけが全貌を知ることになるナスバンにはどんな物語が紡がれていくのだろう?