特別な一年だった2020年をふりかえって、この一年に出会った美しきものたちなんてやつを、がらにもなく書いてみようかと思いつきました。

物理的に動くことや、触れること、誰かに出会い触れることを制約される、オトナになってからは初めての一年。


でもある意味、それは高校生のころのあのモヤモヤした時期にも似ていて、できないこと、やっちゃダメって言われることがあるからこそ、自分がどんな風に生きていこうかって全力で考えるし、ナニクソ!!って頑張るパワーも沸いてきたりする。それに、自分にとって大切な人が誰なのか、どんな人に憧れ、どんな人とおしゃべりし、飲み(あ、これはオトナだけかww)、共に笑ったり泣いたりしていこうかってことを真剣に考えたりできる貴重な時間。


そんな風に、自分自身のアンテナがより鋭敏になっていたこの一年間。

そこで出会った美しきものたちは、これからの自分にとっても意味があるんじゃないかなぁなんて気もしてます。


というわけで第10位から


▼第10位  松原慈: Arts Towada 十周年記念「インター + プレイ」展 第1期 / 十和田市現代美術館


少し涼しくなってきた頃に、雨の中日帰り十和田。片道5時間の新幹線とかちょっときつかったけど、がんばった。

あの建物は、開口部で切り取られた四角形が非常に印象的で、そこにぴたりとはめてきた美しい展示。

歩き回ると、自分が四角形の中に現れたり消えたり。

なんだろう、そこはかとない静けさと品のよさも好きでした。

▼第9位   大山エンリコイサム: 屋光雲 / 神奈川県民ホールギャラリー


12月に始まった、築45年のモダニズム的でありながら様々な制約のあるスペースにての、ある意味チャレジャブルな展示。

床面を境にして、海に見える。

海の上と海の中の世界ってパラレルに進行していて、そんなイメージ。

時間が動いている、とまっているけれど海の下では動いているんじゃないかって、そんなイメージ。



白い部屋。

こっちも素敵。やっぱりパラレルな時間。


▼第8位 森の別荘 / SANAA


避暑地の林の中にひっそり佇む立ち姿と、白壁にぽかりと開く開口部からの外の緑色が鮮やかで非常に印象的。

ミニマルでいて、どこか有機的なイメージ。

ヨーロッパの香りも、控え目だけれどしっかりと。


▼第7位  廣瀬智央: 地球はレモンのように青い / アーツ前橋


暑い夏に見た軽やかな風のような展示。
イタリア在住の作家さんだからかな。

個人的には、ここの階段の光景があまりにも好きで、ここに住みたくなりました。抜け感と、光がサイコー。

あとはレモン。

インスタ映えスポットも多数。

(ビーサンはご愛敬。暑かった...)

白井屋ホテルはまだまだ玄関先の補修工事中。


▼第6位  狭山の森 礼拝堂 / 中村拓志 NAP建築設計事務所


霊園の中にある、ひそやかな礼拝堂。

管理休憩棟のコンペのご褒美が、礼拝堂だったというだけあってとても自由。

屋根は、すべて手仕事で成形されたアルミ板がはりつけられていたり。
中は、石床に移ろう光がたぶん主役。

きっと、目を開いて、でも下を向いて時を過ごすことが多いのかな。

木をくみ上げている構造そのものが、意匠になり、造形になっていて。

いい意味で無宗教的な感じも好きでした。


▼第5位  MICHAËL BORREMANS MARK MANDERS: Double Silence / 金沢21世紀美術館


冬になって、また閉館になるのが怖くて12月頭に急いで見に行った。

屋根の上にいる、大好きなJan Fabreとの合わせだけで、もう涙でそうになったりして。

写真はNG。

だから心の中にとどめている、ひそやかな美しさ。


週末の夜間開館で見るのがきっとベスト。

ここはまだやってるならば、もう一度行きたい。窓によって切り取られる光景が不意に視野に入ってくる違和感ふくめ、SANAA建築とのあわせも素晴らしく。


60年代生れ&ベルギーベースの2人展。ベルギーって美しき矛盾に裏打ちされた不思議な魅力をたたえる大好きな国。育ちのよさと蛮行、生命力と退廃、愛と残虐、痛みと快感、男と女、カオスと静寂。などなど。


▼第4位  studio-apartment Le Corbusier


パリ中心部にあるMaison la Rochetからちょこっとバスで移動。

コルビュジェがアトリエとして使っていた自邸に寄り道。

とにかくこの眺望のご褒美感はハンパなく。


ここは偏愛的にすべての造作をなめるように見てしまったり。

こんなところで、ブランデーでも。
睡眠はだいぶポップ

きっと楽しい夢を見れるね。

あまりに好きで、アイコンにつかったこともある洗面台

アイアンの脚ついてる木

ここはほんと住みたいなぁと妄想。


▼第3位  Ulla von Brandenburg: Le milieu est bleu / Palais de Tokyo


まずパレドトーキョーという空間が好きなのもありますが、そこにこの色彩感あふれるアーティストをあわせてきた感覚が好きでした。

マイクロコミュニティが協働作業の末に何かをつくり生を祝い死を弔う。とても有機的。しそれでいてどこか現実感の失われたビジュアル。

時間という概念がとびそうになってくる体験。

とにかく色彩が強くてくすんでいて独特のトーン。

儀式めいた行為の記憶としての映像作品は、インド映画のそれを彷彿。


▼第2位  ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ / 国立国際美術館


世界は目には見えない部分からできていて、見えているのはほんの一部のみなのだと痛感されられた展示。

だから美というものは、なんらかの欠落に宿り、その欠落をまた愛してしまうのが人間の性でもあったりして。

頼んでいた図録が、ちょうど数日前に到着。

2020年に覆った、知っているものと知らないもの。愛すべきものと、そうでないもの。


▼第1位 La Seine Musicale / Shigeru Ban Architects


前夜にあたふたとエアチケットとるのは初めてだったけど、ちょい無理してでも行ってよかった3月頭のパリ。ほんとギリギリのタイミング。

セーヌ川にうかぶ浮島にあったペプシ工場の再開発。

坂茂の手で生み出されたのは、二重カプセルになった音楽ホール。



聞いたのは弦楽カルテット。なんとも言えずフランスらしい音をつくってくる坂さん、さすが。ほわりとしているのに、打点の合い具合は秀逸。

ソファの背にはもちろん紙管がつかわれてるし、もう天井とか気が遠くなるレベルに凄い。


個人的にはエントランス、アトリウム空間の作り方が、フランスへの敬意、パリという街への敬意に溢れてるように感じて、なんだか嬉しかった。坂さんのお人柄かな。

いや、サイネージの力もあるね。

ほんと素敵。


▼番外編

to be continued